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理想が手に入る思考 ー前編ー


「結果にフォーカスと過程にフォーカス」


フォーカスというのは焦点を当てるという意味の単語です。

何に視点を定めて物事を見るかということになります。



「結果にフォーカス」というのは、

結果がどうなのか?にこだわって、そこに思考の焦点を当てているマインドセットになります。


「結果にフォーカス」の「結果」というのは、具体的な数字や尺度で測れるものになります。


・テストの点数

・人数(友人、部下、従えている人)

・内申点、通知書、成績表

・年収(月収、時給)

・値段、金額

・資産(持ち物の総額)

・容姿(ジャッジし頭の中でなんとなく点数化したもの)

・順位、ランキング


これらにこだわって、数字や尺度に思考の焦点を当てている状態を結果にフォーカスしている思考と定義します。



この結果にこだわることのメリットはなんと言っても、わかりやすい評価が得られるということです。


・誰かよりも優れている

・上なのか下なのか

・平均以上なのか以下なのか

・偏差値が高いのか低いのか

・多数派なのか、少数派なのか


などなど。



つまり他者と比較ができるということです。

そしてそこには必ず優劣がつきます。


優劣が明確につけられることが「結果にフォーカス」のメリットなのだが、同時にデメリットでもあります。

自分の結果が他者よりも上なら優越感を得られ、下ならば劣等感を感じてしまう。


結果にフォーカスの思考は、優越感を感じるために行動し、劣等感を味合わないようにするためにするという、行動の原動力を生み出します。

結果にフォーカス思考の強い人間は常に以下のような感情が日常生活の中で駆り立てる行動への動機の源泉になってきます。


「あいつより上!気持ちいい!」を感じたい。

「あいつより下!悔しい!みすぼらしい!恥!」を避けたい。



時としてこれらが動機となって発す行動は、凄まじい成果を産みます。


EX)

彼に振られた女性が「見返したい!」という感情が原動力となり、ものすごい美容やダイエットに力を入れ、素晴らしい容姿を手に入れる。


EX2)

友達に高級ブランドのバックを見せびらかされて、悔しさのあまりにもの凄く貯金を頑張る。


EX3)

友達の年収を上回ろう!あの奥様よりも上の階のタワマンに住もう!あのコンテストで入賞しよう!



成果が出るのならそれはとても良い考え方なのでは?そう思うかもしれない。

確かにそうです。

私もかつてはそうでした。

ボディメイクコンテストで受賞したい!と筋トレに励みましたし、他のトレーナーよりも商売で上手く行きたくて、売上を上げることに躍起になっていました。



しかし、結果にフォーカス思考の最大のデメリットは、際限がないことです。

よってどこかで必ず疲れ切ってしまう。ガス欠を起こすのだ。

ガス欠を起こしても必死に結果だけを求めようとし続けます。

すると中身のない結果だらけのハリボテな人生となります。



世の中は広い。上には上がいます。

どこまで上り詰めたら自分が満足するのか?

実はどこまでいっても満足を得られることはありません。

世界はとても広く、人の数も膨大に存在します。

コンテストで一位を取れば、もっと規模の大きい大会で成果を出そうとなる。

年収1000万を超えれば、2000万を目指し始める。

SNSのフォロワーが100人超えれば!1000人越えれば!1万人を越えれば!

とにかく終わりのない競争を延々と繰り返してしまうのです。



優越感を感じるためにひたすら高みを目指しても、いつまで経っても常に上が存在する訳なので、ものすごい成果をもし出していたとしても心のどこかには常に劣等感を感じていることになります。

下を見れば優越感を感じられるので、自分より下であると感じる相手には見下した態度をとりがちになります。

上を見れば劣等感を感じるので、いつも自分はまだまだであると脅迫的に追い込んでいくことになります。


ワーカホリックな性格によって体を壊す人や、他人のためにあれこれと世話を焼く人、身なりを過剰に気にして着飾ることや自分をよく見せたいという方々というのは、結果にばかりフォーカスしてしまったからそうなっているのである。


そして結果が伴っていない自分には価値がないと感じており、完璧でない自分は愛されない存在であると、心のどこかで思っている。

いつも満たされておらず、愛への渇望を常に感じている。


結果にこだわらないと、気が済まない。

結果を常に有していないと、自分を保てない。

だから数字などのわかりやすい尺度で測れる物(有形資産)に固執する。

有形資産をもっていないと、ダメな奴に成り下がってしまい、延々と現れる劣等感を感じさせる誰かと戦っている。


余談ですが、10代までの悩みのほとんどは、周りとの比較が原因であると言われています。



対外的にアピールできる有形資産を必死に集めているうちは、人生にとって本当に大切なものを蓄えることが一向に進まないのです。

気づいた時には、先にアピールの無限ループから抜け出し、あゆみを着実に進めている人たちからは、大きく差をつけられているのです。

実年齢よりもしっかりしているなと感じられる方や、この人は達観しているなと感じられる方は、地に足をつけて地道に進んでおり、大人であり精神的に成熟しています。

地に足つけて進んでいない人は、まだ精神的に幼く見え、やれることが少なく、自信がない。



やれることが少ない自分を隠すかのように、有形資産で武装をし、少ない自信をあたかもあるように見せるために、実績と結果で穴埋めするのです。

過剰にファッショナブルであったり、ブランドものに執着したり、金融資産を見せびらかしたりして武装します。

凄まじく脆弱な自己肯定感の上に、有形資産という砂の城を築いていきます。

自己肯定という土台がぐらぐらな状態なので、一生懸命に砂の城が崩れないように、揺らさないように、風が吹かないように、怯えるように石橋を叩いて生きます。





それに対して、過程にフォーカスの思考はどのような思考なのか?

誰にもでも分かるような尺度で測れないもの(無形資産)こそ大事である、と考える思考です。


それは自分のスキルや技能であったり、存在そのものに価値を置くという思考です。

端的な言葉でまとめると、「能力」と「在り方(存在)」を大事にするということです。


では自分の能力と在り方を高めるものは何なのか?

「過程にフォーカス」の「過程」とは何か?


過程とは


・知識の習得

・試行錯誤

・失敗体験

・練習や訓練の時間

・考察や内省


などなど。



まとめると「経験値」と呼ばれる類のものになる。

もちろん数値化できませんし、具体的に物質として存在するものではない。

しかし、その人の価値をなす大切なものです。

形なき価値を成すもの、すなわち無形資産です。


過程にフォーカスするというのは、人生経験の豊富さと体験と行動の量に目を向けるということになります。

この思考を持つ方々から、結果にフォーカスしている人を観察していると、こう感じる。


「まだその無限ループの中にはまっているのですね」

「そろそろ、その不毛な争いから逃れて、本質に目を向けたら良いのにな」

「他者と比較ではなく、地に足をつけて、早く勉学と修行を始めようよ」と。




結果にフォーカスの思考を過程にフォーカスの思考に切り替えるために、改めないといけない思考がある。


有形資産を築くために頑張った証として「結果」がもたらされるという考えです。

この考えがあることで、頑張れば結果が出ると思ってしまったり、頑張りがないと結果は出ないと思ってしまう。


「頑張ることが正義」という安直な考え方が非常に危険なのです。


頑張るは良し、頑張らないは悪という、努力の量は問題なのではなく、頑張る方向性がとても重要なのです。

何に対して頑張るのか?が大切です。

無形資産を築くための頑張りにしか真の成長はありません。

有形資産を築くための頑張りは、非常に脆いし、必ずいつか使えなくなる能力しか成長しません。

時代の変化に影響を受けない資産。環境や状況で変化しない資産を築きましょう。



今スマホの登場で高齢者でのその違いが浮き彫りになっています。

新しいデバイスを使いこなすには、それを使いこなす能力が必要。

能力を伸ばすには自己成長が必要。だから無形資産を作ることを放棄した多くの人たちがスマホを扱えないという状況に陥ってます。


新しい価値観や、新しい製品が登場するたびに振るいにかけられていると思った方が良いのです。

私も自分より若い世代が、知りもしない製品を使いこなし、凄まじいパフォーマンスをあげているのをよく目にします。


高齢者であっても、スマホを使える人は使えます。

これは使いこなすという能力を磨き無形資産を既に持っているから使えているのです。



広大な農地を

1クワで耕す

2牛を使って耕す

3コンバインを使って耕す

4自動運転AI搭載ロボが耕す


現代にコンバインを使わずクワで農業をしていたらどう思いますか?

耕す必要がない新素材を使った、土を使わない農業なんてウルトラCもあるくらいです。


スマホも既に当たり前のものとなっており、AIなどの次の時代に突入しています。



時代についていけないというのは、無形資産が乏しいということなのです。



結果という有形資産は、土台である無形資産を築いた後に勝手についてくるオマケのようなものです。

過程にフォーカスし、淡々と無形資産の維持向上に努め、その過程で勝手に出来上がってくるものが、有形資産である結果です。

先に求めてはいけないのです。


まず始めるは土台固めである、無形資産の構築です。

無形資産は行動量とそれに付随して増えていく経験値のことです。

必要なのは成功体験だけではなく、成功も失敗も含めた体験の全てです。

基礎固めは、行動の量と経験値で成すのです。



上司に見習い、私は一から自分の能力を見直し、運動に関しての知識を再び勉強し始めました。

トレーニングの理論が自分の頭の中でしっかりとでき上がり、栄養を学び、人体への知識と扱い方が分かってきた。

無形資産が徐々に増えていくのをきっかけにして、私にも結果が出るようになってきました。


東海大会で3位入賞を果たし、いちおう人に胸を張って言える初めての実績(有形資産)を後で手にしたのです。


無形資産が増えた結果、トレーニング内容も、メニューの組み立ても、ギアの使い方も、サプリの摂り方も当初とは全く違うものとなりました。

使っているものは全く変わりませんが、その使いこなす本人の能力が上がったのです。

方法やメソッドは無形資産が伴っていなければ、全く役に立ちません。



「結果にフォーカス」が「過程にフォーカス」へと思考法が変化したのは、身をもってこのことを理解した時でした。

腹にストンと落ちた時、腑に落ちた時でした。



理想を手にするためには、結果を欲しがるのはダメということです。

愚直に自分磨きをしましょう。

理想を叶える必勝法も、うまくやるためのコツも、一発逆転の棚ぼたもありませんでした。




”ビートルズは、ほしいだけの金を儲け、好きなだけの名声を得て、何も無いことを知った。”

- ジョン・レノン -





「結果にフォーカスと過程にフォーカス」の思考の差が、この後で述べる「固定マインドセットと成長マインドセット」を作り出していきます。

マインドセットに関しては次回の記事で解説します。

お楽しみに!

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