前編に引き続き、理想を手に入れるための思考方法について、解説します。
ボディメイクコンテストの競技者として成果を上げる上司と、うだつの上がらない私。
一見同じような行動をとっている両者。
理想を叶えてどんどん成果を上げていく上司と、必死に努力をするが全く成果につながらない私との対比の中で、気づくことできたマインドの違い。
前編ではフォーカスしているものが違うという話でした。
有形資産に目を向け、結果に向けて邁進する思考。
無形資産に目を向け、過程を大事にして進む思考。
今回はこの両者の思考の違いが生み出す、マインドセットについての内容となります。
「固定マインドセットと成長マインドセット」
心理学の世界には固定マインドセットと成長マインドセットという考え方がある。
〜スタンフォード大学 キャロル・S・ドウエック教授〜
マインドセットとは?
人はこれまでの経験や教育、先入観から作られる思考のパターンを持ちます。
この思考のパターンのことをマインドセットや信念と言ったりします。
人は心の奥に信念を持って生きています。
信念は、
「どんなことを望むのか?」
であったり、
「望みが叶うのかどうか?」
に大きく影響します。
固定マインドセットと成長マインドセットは、白黒思考のように明確に分断されているわけではありません。
多くの方はどちらも同時に持っています。
どちらが多いのか?
どちらに偏っているのか?
と言う見方をします。
好きで得意なことに関しては、成長マインドセットに寄っており、成長することで前に進んでいます。
一方、嫌いで不得意と感じることは固定マインドセットに偏り、挑戦を避けることで成長が止まっていたりします。
固定マインドセットの前提にあるのは、
「知能はそれぞれの人に固定されたもので、変化しない」
という信念です。
それによって固定マインドセットに寄っている人生を歩む方は、自分の知能は固定されているので、所有物や環境が自分の幸せを決めると考えています。
幸せに暮らすためには、周りの環境や他人が自分に何かをもたらしてくれるのか?と言うことが最重要であると考えています。
周りの状況を見定めることが全てであり、自己を成長させて難題や課題に挑戦し、苦難を乗り越えながら暮らしを構築していくという考え方には至りません。
よって、
「優秀な人は努力しなくても難題をクリアできる」
「成功している人は生まれつき優れているから成功している」
とも考えており、自分から行動を起こして苦難に挑戦しようとはしません。
こういった思考パターンが根っこにあるため、固定マインドセットが強い場合には以下のような傾向が散見されます。
・ミスや困難から目を逸らす。(自分から目を背ける)
・発生した出来事の原因は自分になく、周りが悪いと捉えている。(他責思考)
・起きた出来事の原因を考えたり、因果関係に着目しない。
・人にどう見られるかばかりを気にしている。
・リスクを過剰に恐れ、挑戦することを避ける。
・人の意見や、ミスに対して厳しく評価しがち。
・自分は悪くないという考えを変えることが難しいため、人の指摘を受け入れることが困難。
このように周りを大変気にしており、どうメリットを受け取ろうか?どうデメリットを回避するか?ばかりを考えています。
なので成長しません。
前出の「結果にフォーカス」の思考と並んで、固定マインドセットは成長を妨げる大きな要因となります。
逆に成長マインドセットの傾向では、
・ミスや失敗など起きている事全てを自分事として受け止める
・自分の中にその原因を探る
・積極的に問題解決に臨む
・結果よりも自分を向上させることに意識が向く
自責で、物事を捉えており、起きた事実は全て自分の責任であると考えています。
(*自責と他責の思考については、また別の機会にしっかりと解説しようと思います。)
前出の「過程にフォーカス」の思考と並んで、成長を加速させる大きな要因となります。
自分の理想を叶える上において、この思考パターンの違いは人生にかなり大きな影響をもたらします。
自分の中のことだけではなく、人間関係においても大きな違いを生むからです。
固定マインドセットに寄ってしまった信念で他者と接していると、どうしても相手に自分の主張を認めさせることに必死になってしまいます。
・あいつが足を引っ張ったから失敗した。
・私がこのプロジェクトを成功させた。
・あいつの邪魔があったから失敗した。
・あの人に的確な助言をして育てたのは私だ。
・いつも私をイラつかせる。
・私が優れており、私中心に世の中は回っている。
「私は悪くない!周りが無能でさ!」と。
本来であればわざわざ言わなくてもよい言葉ばかりだ。
自分の正当性を裏付けるために、このれらのアピールを一所懸命におこなう。
そしてアピールするだけならまだ良いのだが、話を聞いてくれた相手がもし自分の気持ちをわかってくれなかったり、察してくれないと、一方的に怒り出したりします。
正当性の主張と怒りっぽい態度があることにより、相手との関係構築が困難になってしまいます。
さらに自分が欲するものを既に持っている人を見ると、羨ましく見えます。
自分で行動して成長して克服しようとしていないので、すぐに金銭による解決に頼る傾向もあります。
金銭がない場合は力や権力で、力も権力もない場合は相手を困らせる行動をして、やめて欲しければ私のいう事を聞け!ともとれるような、試し行動を取ります。
基本的に他力本願な傾向が強いのです。
また人から奪おうとしたり、利用しようとしたりもします。
利用できるか?できないか?が決断の基準になるので損得勘定でしか周りの人間を見ていません。
利用価値の高い権威や金銭を持っている人のそばにべったりとくっつこうとし、小判鮫戦法を繰り出します。
もし、くっついている相手のおかげで大きな利益を得ると、それはあたかも自分の手柄であるかのように周囲に吹聴してまわります。
ここまでの傾向の例はかなりわかりやすく、目立つ極端な例です。
ですが、私たちの日常ではもう少し小さく目立たなくこの特徴が小出しに出てくることがほとんどです。
人はみな苦手意識を持つ事柄には、固定マインドセット特有の行動をとりがちです。
この行動が、よく観察しないと分からないくらい小さく目立たなく発生します。
しかも厄介なのが、無意識にしており、本人に自覚がないことです。
「わたし某業界で目立つ◯◯先生と、仲がいいんだよね〜」や、
クラスで一番人気の「〇〇君とマブダチじゃん」というアピールであったり、
ママ会の中の中心人物のような人に常にくっ付いており、有力者グループに属している。
であったり、
中間管理職などのある程度上の立場の社員が「私が一声かければ、何十という部下は確実に指示に従う」
であったり、
「本当にみんなしっかりしてないんだから!」家族の中心は私と思っているママが言う事を聞かない子どもや旦那に強く当たる
であったり、
これらの例のように自分の力で人を動かせる!と勘違いしてしまったり。
自分に部下がついているのは、自分が有能で、慕われているからだと勘違いしてしまったり。
長い物には巻かれろとの思いで、力のある者の近くにいる人。
その下にくっ付いている、長い物に巻かれている者たちも、固定マインドセットで結果にフォーカスの思考を持っている者たちです。
さらに類は友を呼び、同じ者たち同士で、巻かれあって、連れだって集団で行動するような特性が見受けられます。
そしてくっついている権力者が持ってる力を無くしたり、財力を失うと、この取り巻きたちは一斉に離れていきます。
(先ほどのママの場合は、行った家事や身の回りの世話の数々などの他人のために割いた労力が権力や財力に相当する。)
取り巻きを作り出していた権力者は固定マインドセットが強いと、せっかく築いたものが壊れるのを恐れ、さらに金銭や権威というものに固執を始め、結果にフォーカスの思考をさらに強化していくのです。
延々と終わることのない、有形資産を守り増やして誇示する、他者との競争ゲームの中から抜け出せずにいます。
そしてその固定マインドセットのグループは一見、表面上では仲が良さそうに振る舞っていますが、心の中の本音はかなり腹が黒いです。
あいつが足を引っ張ったから。
あいつの邪魔があったから。
全然使えないわ。
いつも私をイラつかせる。
私は悪くない!周りが無能でさ!
固定マインドセットの集団の中では悪口や噂話が絶えないのは、このような心理的な有形資産への依存の構図があるからなのです。
「この特徴に結構当てはまるかも・・・」という読者がいらっしゃっても安心してください!
マインドセットは変えられます!
マインドセットは状況によって変化が起きることもありますし、自分の意志で変化を起こすことも可能なのです。
固定マインドセットの危険さや、デメリットをここまでたくさん述べてきました。
もういいよとお思いでしょう。
お待たせしました!ここからが本題です。
・成長マインドセットの具体的な特徴とメリット
・どうやって固定マインドセットを回避し、成長マインドセットに移すのか?と
・変化のための具体的な方法について
次回は、この三つについて進めていきます。
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